トランス脂肪酸について

最も避けたい油といわれるトランス脂肪酸

トランス脂肪酸の規制について

トランス脂肪酸が悪だということは有名な話だと思います。
アメリカでは2018年に食品への添加を禁止されており、いかに危険なものか想像がつくと思います。


世界保健機関(WHO)はトランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう目標値を設定しています。

日本ではもともとアメリカほど摂取量が多くなく、WHOの目標を下回っており影響は小さいとされアメリカのような規制はされていません。

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トランス脂肪酸の構造・作用機序と健康被害

トランス脂肪酸は植物由来でありながら人工的な加工等により自然界には存在しない状態になった不飽和脂肪酸です。

構造が天然に存在するシス型ではなく、トランス型となっています。
不飽和脂肪酸は生物の細胞膜を作っていますが、細胞膜を作るためにはシス体の構造が必要です。

人工的な構造であるトランス体の不飽和脂肪酸が細胞膜の構造内に紛れ込むと、細胞膜は正常な働きができなくなり、細胞機能が障害されて病気等を起こす可能性があるといわれています。

トランス脂肪酸は体内では代謝されにくく、その代謝においてビタミン、ミネラルが多く消費されてしまいますし、本来の不飽和脂肪酸代謝物の生理作用をかく乱すると言われています。

この結果、アレルギー症状・神経系の症状を悪化させたり、心臓病等の発生を高めるといわれています。

その他いろいろな疾患との関連性が言われていますが、現在の厚生労働省の見解ではトランス脂肪酸の健康への影響としては以下の様になっているようです。

「平均的な日本人より多いトランス脂肪酸摂取量を基にした諸外国の研究結果によると、トランス脂肪酸の過剰摂取により、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加する可能性が高いとされています。
また、肥満アレルギー性疾患についても関連が認められていますが、糖尿病、がん、胆石、脳卒中認知症などについての関連は分かっていません。

こうした研究結果は、トランス脂肪酸の摂取量が、平均的な日本人よりも相当程度多いケースの結果であり、平均的な日本人の摂取量においては、これらの疾患リスクとの関連は明らかではありません」

出典:トランス脂肪酸に関するQ&A(厚生労働省HP)


心筋梗塞アレルギー
に関しては因果関係ははっきりしていそうです。
脂質なので摂り過ぎれば肥満は当然ですね。
糖尿病、がん、胆石、脳卒中認知症などについては関連性が明らかではないようですが証明されていないだけで可能性はあり得ると思います。
それらの疾患についても記憶にとどめて取り組みたいものです。


トランス脂肪酸の多い食品


トランス脂肪酸を多く含むものとして

マーガリン、ショートニングファットスプレッド、加工油脂、マヨネーズ等があります。
それらを多く含んだクッキー、スナック菓子、菓子パン等の食品もしかりです。

トランス脂肪酸は、植物油を高い温度で長く加熱することでも生じます。
そのような油で調理された食品(揚げ物、スナック、冷凍食品等)にも多く含まれることになります。

原材料に「マーガリン」「ショートニング」「加工油脂」「ファットスプレッド」「サラダ油」などがあればトランス脂肪酸が使われている可能性の高い食品です。

脂質は重要な栄養素ですがトランス脂肪酸はできる限り摂取を控えたいものです。